チェロにもいろいろな教則本や練習曲(エチュード)があります。
先生からおすすめされたこの教則本はどんな本なのだろう・・・
自分がさらに上達するにはどんな練習曲(エチュード)をやったら良いのだろう・・・
いろいろな疑問があると思います。
この記事では、私の経験から各本の効果やポイントを簡単に書いていきます。
この練習曲にはこんな効果があるのか、
自分にはここが足りない気がするから次はこの練習曲にもチャレンジしてみたいな、
などチェロ学習を勧める際のヒントになれば幸いです💡
先生が生徒さんに練習曲をおすすめする際は、その先生自身が習ってきた経験、また生徒さんを教えてきた経験などから、それぞれの生徒さんに必要な練習曲をおすすめされています。
必ず今習っている先生のご指示に従って学習を進めてくださいね!
定番のチェロ教則本3つ
まずは、初めてチェロを習い始める時に使うであろう定番の教則本をご紹介します。
ウェルナーのチェロ教則本
日本でチェロを習うとまずこれが出てくるのではないでしょうか!
一見難しそうですが、私のおすすめポイントは・・・
開放弦の練習、第1ポジションからその拡張型、その他のポジション、そのシフトをここまで丁寧に練習させる教則本はこれだけだと思います。
基礎を固めたい方に本当におすすめ!
1巻が終わった方は2巻にもチャレンジしてください!親指のポジションなどが出てきます。
鈴木鎮一チェロ指導曲集
これは「鈴木メソード」で使われている教本です。
親しみやすい曲がたくさん入っており、鈴木メソード以外でも幅広く使用されています。
私のおすすめポイントは・・
- 曲を弾きながら順序立ててチェロのテクニックを学べる
- 子供にも大人にも親しみやすい曲
- バロックや古典の曲を勉強できる
- CDがついている
曲を弾けるようになる喜びが感じられるので、特に習い始めの子供達にはこの本がとても有効です!
大人の方は他のエチュードも併用して基礎力固めをすることをお勧めします。
サポージニコフ:チェロ基礎教本
この本も初心者の方に大変おすすめです!
私のおすすめポイントは・・
- 先生と二重奏しながら勉強できる
- 一つ一つのエチュードの長さが短く、目的が明確!
短いエチュードの中に、この曲で何のテクニックを習得するのかというところがとても明確にされているところが気に入っています。
【お悩み別】おすすめチェロ練習曲(エチュード)
ここからは、上記の教則本が少し進んだら並行して練習していくと良い練習曲をご紹介します。
【基礎力を上げたい】シュレーダー:170の基礎的な練習曲 第1巻
シュレーダーの練習曲は、チェロの最もポピュラーな練習曲の1つです。
色々な作曲家の練習曲を寄せ集めて、1冊にまとめられています。
1~3巻までありますが、1巻で途中からだいぶ難しくなります。
3巻はポッパーやピアッティまで入っています。(※ポッパー、ピアッティはチェロの最難関エチュード)
色々な練習曲を満遍なくできるので、迷ったらこれをやってみるのがおすすめです。
【基礎力をつけたい】ドッツァウアー:113の練習曲
ドッツァウアーという人もチェロの練習曲をたくさん書いています。
これは、チェロの基礎力をつけるのにとてもおすすめの練習曲集です!
(一部シュレーダーにも入っているものもあります。)
弾きたい曲で上手くいかないことがある時、その曲だけ練習し続けても解決しないことがあります。
そういう時、日頃からこのドッツァウアーのような練習曲をやっていると、色々な指遣い、弓使いのパターンに触れることができるので譜読みが速くなりますし、自力で解決する力がつきます。
つまり基礎力がつく!
【メロディを歌う練習をしたい】リー:40の旋律的エチュード 作品31 第1巻、第2巻
リーの40の旋律的エチュードもとても優れた練習曲集で、特にメロディを歌う練習をしたい方におすすめです!
シュレーダーやドッツァウアーでは、割と細かいパッセージのようなものを練習することが多い中、このリーの練習曲はその題名の通り、旋律が美しいものが多く、長いフレーズをチェロで美しく弾くことを求められます。
ここは多くのチェロをやっている方のお悩みポイントの一つですが、
メロディを美しく弾く、これが一番難しい!!!
例えば、サン=サーンスの「白鳥」のような優美で美しい旋律は、これぞチェロ!という感じですが、
実際弾くと音は途切れるし、ビブラートは繋がらないし、音程取れないし、音色も美しくないし・・という具合で、理想のように弾くのは本当に難しいのです。(すみません・・)
ぜひこのリーの練習曲で、旋律の歌い方を研究してみてください。
他の練習曲に比べると、音楽的にも楽しい(はず)です。
最近は2重奏しながらリーの練習曲を学べる画期的な1冊も!
和声感を養うのにも役立ち、曲を立体的にとらえながら弾くことができます。
【毎日のエクササイズに!】フォイヤール:日課練習曲
このフォイヤールは、ここまで紹介してきた本のように曲になっていません。
本当に短いパッセージで、例えば、第1ポジションと第3ポジションのシフト練習、1の指でのシフトの練習、音階練習など、いわばチェロ界の筋トレのような練習がたくさん書いてあります。
このフォイヤールのような地道な筋トレは、続けているとどこかで必ず自分の手に効果をもたらすものです。
このような地道なトレーニングで手を鍛えているからこそ、速いパッセージも弾けるし、美しいメロディも弾けるのだと思います。
【次のステップへ】デュポール:21の練習曲
デュポールは高明なチェリスト、チェロの教育者の一人で、練習曲も書いています。
デュポールについてはこちらの本にも登場します。
この本は今のチェロやチェロ奏法が確立されていくまでの重要な100年間の歴史が書かれており、チェロマニアにはかなり興味深い書籍です。
このデュポールの練習曲はかなり難しいです。
1曲1曲の規模も大きく充実しており、さまざまなチェロテクニックが集約されています。
ワンランク上の練習曲に進みたい方、チャレンジしてみてはいかがでしょうか!
【上級者向け】練習曲(エチュード)
ポッパー:チェロ奏法のための上級教本
ポッパーは、チェリストにとってのパガニーニのような存在ですが、
チェリストでありながら、作曲家としてもチェロ曲をたくさん作曲し、また教育者として練習曲も書きました。
ポッパーの曲はヴィルトゥオーゾ的な曲もありますが、ハンガリー民謡を思わせるメロディもなかなか日本人には馴染みやすいと思います。
このポッパーの練習曲はチェロ最難関の練習曲と言っても過言ではないでしょう!
(個人的な感想としては、曲がいい!難しいけどチェロになじむ。ハイポジションを練習するとローポジションも鍛えられている・・素晴らしい)
ピアッティ:12のカプリス
ピアッティの12のカプリスもチェロの最難関練習曲といって良いと思います。
(結構シュレーダーの3巻にも入っています。)
かっこいいですが、当然相当難しいです。
曲としても充実しているので、一曲やり遂げてみるのはおすすめです!
まとめ:なぜ練習曲を練習するべきなのか
この記事を読んで、チェロの上達を目指す皆さんが、曲だけでなく積極的に練習曲にもチャレンジしたいと思っていただけたら嬉しいです。
先生方は生徒さんの様子を見て、その方が今やるべき練習曲を勧めてくださっていると思います。
練習曲は時間がないとつい後回しになってしまったり、曲だけ弾くのでいいじゃん・・と思いがちですが、
急がば回れです!
- やりずらいパッセージが敢えて書いてあるから右手も左手も鍛えられる
- 色々なパッセージのパターンを練習するから、他の曲にも応用できる(好きな曲だけ練習していると意外にワンパターンで、その曲は弾けるけど他の曲は弾けないなどになりやすい・・)
- 練習曲を1曲仕上げる中で自然にテクニックを習得できる etc.
練習曲で普段から基礎を磨いているからこそ、自力で憧れの曲が弾けたり、自分の音がもっと良い音になっていくのです。
自分の目指す理想の音を自分の手で奏でるために、練習曲も頑張りましょう!
練習曲と一緒に音階も一緒に練習しよう!
「なぜ音階を練習するのか」の記事はこちら↓