みなさま、こんにちは!
学校などの音楽室や体育館などでプロの演奏家のコンサートを聴いた、という体験をされたことのある方はいらっしゃいますか?
このように演奏家が学校などに出向きコンサートをする活動を「音楽アウトリーチ」と呼びます。
私も演奏者としてたくさんの学校や幼稚園などでアウトリーチ演奏会をさせていただきました!
この記事では、日本でもっと「音楽アウトリーチ」が広まったらいいなという願いも込め、内容や、現場で感じた音楽アウトリーチの可能性などを書きたいと思います!
- 音楽アウトリーチに興味のある方
- 自分の学校や幼稚園などで生の楽器のコンサートを開催したいと思っている関係者の方
- 新しいコンサートの形を模索している方 など
音楽アウトリーチとは?
アウトリーチとは、直訳すると「手を伸ばすこと」
音楽におけるアウトリーチとは、具体的には以下のような形です。
演奏家が学校や福祉施設などに出向きコンサートをする
演奏家が出向けば、理由があってコンサートホールになかなか行けない方も普段行く身近な場所(学校や病院など)で、音楽を楽しむことができます。
また、コンサートホールには演奏会に興味がある方が足を運びますが、アウトリーチでは必ずしも音楽に興味のある方だけが聞くわけではありません。(例:自分の学校でコンサートがあるから聴く)
そんな方たちにも、演奏家が出向くことによって音楽に興味を持ってもらうきっかけになります。
普通のコンサートとは何が違うの?
奏者によるトークや解説付き!
クラシックの演奏会では、演奏家自身が演奏と演奏の合間に曲を解説することはあまりありません。(最近は少し増えてきたように感じますが。)
アウトリーチコンサートでは、音楽があまり聴き慣れない方にも興味を持っていただけるように、曲の解説、その曲の面白いところ、聞きどころなどを演奏者が自身の言葉で話します。
- 注目してほしい曲の一部分を取り出して弾いてみせる
- 1声部ずつ音を重ねていって和声の構造を説明する etc.
楽器紹介もしました!
近い距離で生演奏を聴ける!
音楽室などでアウトリーチを行う場合は、コンサートホールよりも近い距離で演奏を聴くことができます。
そのため、聴いている人は、音の迫力、奏者の息遣い、合わせる時のアイコンタクト、表情などを間近で感じることができます。
近くで聴いたら音量が大きくてびっくりしたなんて子供も!
コンサートに参加できる!
アウトリーチでは企画者や奏者の裁量で自由にプログラムを決めるので、聴いている人たちが参加するコーナーを設けることができます。
演奏会は本来奏者とお客さんとの双方向のコミュニケーションで成り立っていますが、お客さんが受動的に感じてしまうこともあります。
アウトリーチでは、参加型のコーナーを入れることで、自分もコンサートを作る一員なのだと感じることができます。
- 歌で参加してもらう
- 手拍子で参加してもらう
- 校歌など馴染みのある曲を弦楽四重奏で弾くとどのような響きになるか聴く etc.
音楽アウトリーチの社会における役割
想像力・表現力を育む
音楽は受験科目にはなく、点数化もしにくいので優先順位は低くなりやすいですが、
自分はどう感じるか、また、感じたことをどう表現するか
という力を育てることができます。
この力は、音楽以外の物事を考えるときにも役立ちます。
音楽の感じ方は人それぞれ自由で、正解も不正解もないです。そしてそれは人間らしくあるために大切な考え方でもあります。
音楽に触れる機会を作る
先ほども書きましたが、コンサートホールには演奏会に興味のある方、チケットを買ってくださった方などが足を運ぶことが多いです。
中には、本当はコンサートに行きたいのだけど、色々な事情があって行くことができない方もいらっしゃいます。
演奏家が出向くことで、そういう方にも音楽を楽しんでいただくことができます。
地域の人の集まる場になる
私は以前、ある公民館が主催しているコンサートに出演させていただきました。
そこではこれまでに300回近くのコンサートが行われており、事前予約の開始日当日にあっという間に席が埋まってしまうほど地域の方に愛されているシリーズでした。
そのコンサートをきっかけに地域の方が公民館に集まり、交流したり、コンサートを楽しんだりしている様子を見て、人とのつながりが希薄になりがちな現代社会において、演奏家がその地域に出向いてコンサートをする意義を強く感じました。
このコンサートに出演させていただき大変光栄でしたし、公民館のような身近な場所で行うコンサートが日本全国でもっと行われるといいなと思いました。
地域活性化につながる
音楽をきっかけに地域活性化に繋げようという企画もたくさんあります。
例えば、杉並区荻窪で行われている「荻窪音楽祭」は、毎年アマチュアの方からプロの演奏家までたくさんの出演者がホールだけでなく街のあちこちで演奏会を開きます。
街が音楽で賑わい、活気づくとても素晴らしい企画です。
音楽アウトリーチを実施する上での問題点
費用面
いいことがたくさんある反面、やはり実施するには多くの費用がかかります。
演奏者の出演料、その他経費、遠方の場合は交通費・宿泊費などです。
演奏家とのマッチング
うちでも音楽アウトリーチを実施したいと思っても、どのように演奏者を探したらよいかわからない、という方もいらっしゃると思います。
まずは音楽事務所などに相談しても良いですし、またはインターネットでこのような活動をしている演奏家を探し、ホームページなどで直接コンタクトを取って見るのもおすすめです。(今の時代はSNSでもコンタクトが取れる)
その際はできるだけ詳しく依頼内容を書いていただけるとスムーズだと思います。
まとめ
この記事で音楽アウトリーチがどのようなものなのか、少しでも伝わっていれば幸いです!
音楽アウトリーチには、演奏家の方にも自分の演奏技術、トーク力、マネジメント力などを磨くことが求められます。
この記事では、学校や公民館などでコンサートしたことを例を挙げていますが、実施できる場所は多種多様です。(楽器や奏者の安全面などから実施できない場所もあります)
社会の中で音楽家ができることの一つとして、音楽アウトリーチがもっと広まっていったらいいなという思いを込めてこの記事を書きました。
もっと音楽が身近なものとなりますように!