この「おすすめチェロ・ソナタ」シリーズもついにPart 3、最終回となりました!
これまでの記事なこちら↓
お気に入りのチェロ・ソナタは見つかりましたか?
今回も素晴らしいチェロ・ソナタの世界をご案内します!
メンデルスゾーン:チェロ・ソナタ 第2番 ニ長調
フェリックス・メンデルスゾーン(1809-1847)は2つのチェロ・ソナタを書いています。
この第2番のソナタは1843年に作曲され、第1番のソナタに比べ、より演奏会向けの充実した内容になっています。
1843年はメンデルスゾーンがライプツィヒ音楽院を設立したり、かの有名な劇付随音楽『夏の夜の夢』の「序曲」以外の曲を作曲し初演したりと、大変充実している年でした。
『夏の夜の夢』の「序曲」はなんと17歳の時に作曲!
(余談)ところで、『夏の夜の夢』といえば、映画「ドラえもん」「のび太と銀河超特急」ですね!
宇宙を走り抜ける特急のシーンと音楽が見事にマッチしていてなんて素敵な曲だろう!と思ったものです!
ぜひみて見てくださいね!
さて、話を戻し、このチェロ・ソナタ第2番はロシアの伯爵、マシュー・ヴィールホルスキーに献呈されました。
彼は腕利きのアマチュアチェロ奏者でもあり、クララ・シューマンとソナタも共演しました。
このソナタは、ピアノがとても難しいソナタでもあります。冒頭部分のピアノの連打や、華麗なアルペジオの連続も必見です!
この時代のピアノは現代のピアノとは異なり、まだそんなに音量が出なかったため、あれだけの音数を書いて華やかさや音量をだしたのかもしれません。(個人の想像です)
チェロパートにもメロディと交互にバスパートで「刻み」が現れたり、メンデルスゾーンのオーケストラやカルテット曲を思わせます。
聴いていて明るい気持ちになる、メンデルスゾーンのチェロ・ソナタ第2番、とてもおすすめです!
チェロが入るメンデルスゾーンのおすすめ曲
どれも必聴です!
- 弦楽八重奏曲 op.20 (16歳の時に作曲!)
- ピアノ三重奏曲 op.49 第1番
- 無言歌 op.109 (編曲ものではなく、チェロのオリジナル作品なのですよ!)
ボッケリーニ:チェロ・ソナタ イ長調(6つのソナタより6番)
ボッケリーニ(1743-1805)は作曲家兼チェリストで、たくさんのチェロ曲を残しています。
中でも、このチェロ・ソナタイ長調は明るい曲調と明朗な旋律で人気の曲です。
全3楽章ですが、第1楽章と第2楽章のみを演奏することが多いです。
そしてこの時代の装飾音符は自由度がかなりあるので、聴いた録音によって微妙に違うなんていうこともあるかもしれません。
これは私が昔マスタークラスで習った時に先生に教えていただいたのですが、
各地で演奏していたボッケリー二は、この日はこうしよう、別の日はああしよう、などと少しずつ変えていたそうなのです。
今日は1楽章から弾こう、今日はAllegroから弾こう、なんてことも!?(真偽のほどはわからないのですが・・・)
クラシックは楽譜通りに弾く、なんて世の中では言われていますが、結構自由な時代もあったのです。(むしろ自由は難しい!?)
このチェロ名曲紹介シリーズで紹介してきた曲とはちょっと趣の異なる曲かもしれません。
お楽しみあれ〜
プロコフィエフ:チェロ・ソナタ ハ長調 op.119
セルゲイ・プロコフィエフ(1891-1953)は、ロシアの偉大なチェリスト、ロストロポーヴィチに刺激を受け、交響的協奏曲とこのチェロ・ソナタの2つのチェロ曲を残しました。
交響的協奏曲の記事はこちら↓
このソナタは1947~49年にかけて作曲されました。
この時期のプロコフィエフは病気により、医師に許可されたわずかな時間の中でしか作曲できませんでした。
さらには政局から批判されたり、家庭内もうまくいっていませんでしたが、そんな晩年でも大変勢力的に作曲活動を行なっていました。
このチェロ・ソナタもハ長調と明るく、大変スケールの大きい音楽で、まさかプロコフィエフの人生がそんなに大変だった頃の作品だなんて。。
この曲は、全3楽章からなり、緩徐楽章がありません。
C線の開放弦の「C」の音を存分に鳴らし、とても力強く曲が締めくくられます。
C線の開放弦「C」は、チェロの最低音!
プーランク:チェロ・ソナタ
フランシス・プーランク(1899-1963)が1948年に完成させたチェロ・ソナタです。
フランス人チェリスト、ピエール・フルニエの委嘱で書かれ、フルニエと作曲家自身のピアノによりパリで初演されました。
プーランクもまた、ドビュッシーのようにドイツ的な型へ反発し、フランス的な感性を全面に感じさせる一曲です。
いろんな人格の人物の登場を思わせる変化に富んだ曲想、表情豊かなメロディはまるでオペレッタのよう。
おしゃれな和声はフランスの香りを存分に感じさせてくれます。
チェロパートも大変難しく、アクロバティックな動きを見せます。
ドビュッシーのソナタともまた違ったプーランクのソナタで、フランス音楽の世界を楽しんではいかがでしょうか!
まとめ
ここまでたくさんのチェロ・ソナタをご紹介してきました。
まだまだ他にも
- R.シュトラウス
- フォーレ
- マルティヌー
などのチェロ・ソナタがあります。
その時の気持ちに合わせて、お好きなチェロ・ソナタを楽しんでくださいね!
おすすめチェロ・ソナタ Part1, 2はこちら!↓
おすすめチェロ協奏曲はこちら!↓