みなさま、こんにちは!
おすすめチェロ協奏曲8選の記事はお楽しみいただけましたか?
当初は、ここまでのつもりだったのですが、、
もっとチェロ協奏曲を紹介したい!
という気持ちが強くなり、「おすすめチェロ協奏曲+α」の記事を書くことにしました。
これでチェロ協奏曲はほぼ網羅したかも!?
(もちろん私の知らない曲もまだあるとは思いますが、ピアノ協奏曲などに比べ、チェロ協奏曲の数は少ないのです。)
それでは、今回は5つの協奏曲をご紹介します!
ボッケリーニ:チェロ協奏曲 変ロ長調
イタリアのチェロ奏者で作曲家であるボッケリーニ(1743-1805)は数多くのチェロ協奏曲、チェロ・ソナタ、弦楽四重奏曲や弦楽五重奏曲などを書いています。
この協奏曲はボッケリー二が作った13曲の協奏曲のうちの第9番です。
パブロ・カザルスによって有名になったのは、この協奏曲をグリュッツマッヒャー(1832-1903)が校訂した楽譜でした(グリュッツマッヒャー版)
その後オリジナルの楽譜が見つかり、グリュッツマッヒャー版は、別の協奏曲から第2楽章を引用していたことがわかります。
現在は原典版が演奏されることが多いですが、グリュッツマッヒャー版も多くの人に愛され続けています。
下記の動画は1楽章のみです。
ラロ:チェロ協奏曲 ニ短調
エデュアール・ラロ(1823-1892)は、代表作「スペイン交響曲」(事実上ラロのヴァイオリン協奏曲)が有名ですが、「チェロ協奏曲」も書いています。
残念ながら、日本でコンサートで演奏される機会は多くないですが、朗々とチェロを鳴らすあの出だしからチェロファンの心を鷲掴みにして離さない人気協奏曲の一つです。
ラロはフランスのリールの生まれで、スペイン系の血を引いていました。
地元のリール音楽院でヴァイオリンとチェロを学び、パリ音楽院にも在籍しアベネックの元でヴァイオリンを学びました。
アルマンゴー弦楽四重奏団のメンバーとして活動し、ヴァイオリンとヴィオラの名手だったこともあり、弦楽器の名曲を多く残しています。
名バイオリニスト、サラサーテとも交流がありました!
ロマン派の作曲家たちが異国趣味を作品に取り入れることを多くしましたが、彼の作品にも端的にその傾向が見られます。
ラロの「チェロ協奏曲」は1877年に作曲されました。エキゾチックな旋律、終楽章の華やかなロンドなど、ぜひお楽しみください!
カバレフスキー:チェロ協奏曲 第1番 ト短調
ロシアの作曲家、ドミトリー・カバレフスキー(1904-1987)が1949年に完成させた協奏曲です。
ソビエト連邦の青年に捧げる協奏曲3部作の第2作として書かれました。
- 第1作 ヴァイオリン協奏曲
- 第2作 チェロ協奏曲第1番
- 第3作 ピアノ協奏曲第3番(当時15歳のウラディーミル・アシュケナージが初演)
3曲がまとめて演奏できるようそれぞれの曲は比較的小規模にできています。
これも日本でコンサートで演奏される機会はほぼない(?)かもしれませんが、チェロを専門に勉強している人は学生の頃に弾くことが多いです。(青年に捧げる・・ということもあるのでしょうか)
コンパクトながら内容は充実しており、技巧的にも難しく、カバレフスキーらしい独特の色合いを感じさせるおすすめのチェロ協奏曲です。
カバレフスキーはチェロ協奏曲第2番も書いています。
チャイコフスキー:ロココの主題による変奏曲
チャイコフスキー(1840-1893)はチェロ協奏曲は書いていないものの、チェロとオーケストラのための曲を書いています。
その名も「ロココの主題による変奏曲」!
この曲は演奏される機会も多く、チャイコフスキー国際コンクールの課題曲にもなっています。
チャイコフスキーの友人チェリスト、フィッツェンハーゲンのために作曲されました。
やはり名曲の裏に友人の存在あり!
フィッツェンハーゲンは、チェリストでありながら作曲もしており、「コンチェルトワルツ」などのチェロアンサンブルの名曲も残しているのですが、
こともあろうに、チャイコフスキーに無断でこの曲の第8変奏をカットし、変奏の順番を入れ替えて演奏してしまいました。
そのフィッツェンハーゲン版が人気になってしまい、現在もこちらの版で演奏されることが多いです。
フィッツェンハーゲン版 | チャイコフスキー原典版 |
---|---|
主題 第1変奏 第2変奏 第3変奏(原典版の第7変奏) 第4変奏(原典版の第5変奏) 第5変奏(原典版の第6変奏) 第6変奏(原典版の第3変奏) 第7変奏(原典版の第4変奏)とコーダ | 主題 第1変奏 第2変奏 第3変奏 第4変奏 第5変奏 第6変奏 第7変奏 第8変奏とコーダ |
だいぶ入れ替えてますね……
ロココ風と題される優美な旋律と巧みな変奏、オーケストラとの掛け合いも面白い、大変美しい名曲です!
ぜひ2つの版を聴き比べてみてくださいね!あなたはどう思いますか?
フィッツェンハーゲン版↓
原典版↓
プロコフィエフ:交響的協奏曲
おすすめチェロ協奏曲 Part 2 の記事でショスタコーヴィチが影響を受けた曲としても取り上げた曲です。
セルゲイ・プロコフィエフ(1891-1953)は「チェロ・ソナタ」を作曲した後、自身の協奏曲第1番を改作し、1952年にこの「交響的協奏曲」を完成させました。
改作に協力したムスティスラフ・ロストロポーヴィチが初演しています。
私は初めてこの交響的協奏曲を聴いた時、あまりの迫力と超絶技巧にとても驚きました。
ロマン派の協奏曲とは全く違った独特の厳しさを持った音楽にただ圧倒されました。
まとめ
このほか、まだ紹介していないチェロ協奏曲は
- ハチャトゥリアン:チェロ協奏曲
- ショスタコーヴィチ:チェロ協奏曲第2番
- マルティヌー:チェロ協奏曲第1番
- アンリ・デュティユー:チェロ協奏曲《遥なる遠い国へ》
- 尾高尚忠(ひさただ):チェロ協奏曲
などがあります。
尾高尚忠(ひさただ)さんという日本人作曲家もチェロ協奏曲を書いています。ぜひ聴いてみてくださいね!
残念ながら、モーツァルト、ベートーヴェン、ブラームスらはチェロ協奏曲を書いていません。
ドボコンを聴いて、私もチェロ協奏曲を書けばよかったと思ったよ……
ブラームスさん、書いてほしかったです……!
※ブラームスは「ヴァイオリンとチェロ、管弦楽のための二重協奏曲」を書いています。
彼らがチェロ協奏曲を書いていたらどんな曲だったのでしょう、残念でなりません。
この記事を読んでくださった皆さまが、新しく好きなチェロ協奏曲を見つけたり、知っている曲の新たなお気に入りポイントを見つけたりして楽しんでいただけたら嬉しいです!
おすすめチェロ協奏曲 Part 1 ,Part 2 はこちら↓
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