みなさま、こんにちは!
前回の記事のおすすめチェロ協奏曲たちは楽しんで頂けましたか?
今回の記事でも、引き続きおすすめのチェロ協奏曲をご紹介していきます。
今回はロマン派〜現代までのチェロ協奏曲を取り上げます。
時代の流れも感じながら、どうぞお楽しみください!
シューマン:チェロ協奏曲 イ短調
シューマン(1810-1856)は1850年10月10日にこの協奏曲の作曲を始め、24日にはスコアが完成していたそうです。
この年、シューマンはデュッセルドルフ市の音楽監督に任命され、新しい仕事をこなしながらも創作意欲に燃えていたことが伺えます。
1853年にはブラームスに出会い、その才能を世に紹介します。
そんなシューマンでしたが、1854年ライン川に投身自殺を図り、その後1856年に46歳で亡くなります。
チェロ協奏曲は1854年に出版されましたが、1860年の初演まで公の場で演奏されることはありませんでした。
この協奏曲は単一楽章形式(楽章の切れ目がない)で、3つの楽章は関連性を持って書かれています。
シューマンの不安定な心理を吐露するかのようにチェロの音色が独白を続けます。それにオーケストラが静かに、時に激しく寄り添います。
サン=サーンス:チェロ協奏曲 第1番 イ短調
チェロの超名曲「白鳥」を作曲したサン=サーンス(1835-1921)は、チェロ協奏曲も書いています。
この曲は、1872年に書かれました。チェロ協奏曲第2番もありますが、現在ではほとんど演奏されません。
この協奏曲、コンサートで演奏される機会は多くないですが、チェロ学習者にとってはちょっと特別な曲でもあります。
チェロを学ぶ人は、ゴルターマン、クレンゲル、ロンベルクのような昔の高明なチェリストたちが作った学習用のチェロ協奏曲、いわゆる「エチュードコンチェルト」というものを練習します。
それらがテクニックを勉強するにはいいけど、音楽的にちょっと‥な感じで(失礼!)、早く有名な作曲家が書いた協奏曲を弾きたい!と思いながら、チェリストたちは日々エチュードコンチェルトを一生懸命練習するのです。
そんな中、初めて先生からGOサインが出る有名なチェロ協奏曲の一つが、このサン=サーンスの協奏曲です。(あとはハイドンのチェロ協奏曲第1番など。今はもしかしたら違うかもしれませんが・・・)
そして、みんな感動してさらいます!!(「さらう」=「練習する」音楽用語なのか、一般で通じないことが多い(笑))
シューマンと同じくこの曲も単一楽章形式で書かれ、約20分ほどの短い作品ですが、第1楽章の印象的な主題の提示、第2楽章のシンプルながら美しく優美な旋律、怒涛のパッセージで駆け抜けていく第3楽章から成り、
第1楽章の主要な主題を全体を通して使用し曲の統一感を図ったサン=サーンスの巧みな書法が光る、気品に満ちた名曲です。
ショスタコーヴィチ:チェロ協奏曲 第1番 変ホ長調
「初心者にもおすすめ」と銘打って記事を書いているものの、この協奏曲は果たしてそうなのかと思われるかもしれませんが、逆に初心者の方にこそ先入観なく聴いていただきたいと思いご紹介します。
このチェロ協奏曲は、1959年、ショスタコーヴィチ(1906-1975)が53歳の時に書かれました。
この頃のショスタコーヴィチは創作意欲を失いかけていましたが、同じくロシアの作曲家、プロコフィエフがロシアの名チェリスト、ムスティスラフ・ロストロポーヴィチのために書いた「交響的協奏曲」に刺激を受けて、自身もチェロ協奏曲の作曲に挑戦します。
やはり、どの時代も名曲の裏に名演奏家の存在ありですね!
ロストロポーヴィチはその圧倒的な技巧と歌心でたくさんの作曲家を魅了し、彼のおかげで数々の名曲が生まれました。
この協奏曲は軍隊を思わせる出だし、そして第3楽章は「カデンツァ」と題され、独奏チェロのみで嘆きのような旋律が歌われます。そしてやはり彼の作品の根底には風刺があるのです。
ルトスワフスキ:チェロ協奏曲
さらにこれは初心者向けなのかという方向へ進みますが、私はこの協奏曲が大好きなので、現代曲初心者の方にもぜひ聴いていただきたいという思いで書いています。
ルトスワフスキ(1913-1994)は、第2次世界大戦以降活躍したポーランドの作曲家です。
この曲は1969~1970年に、先ほどのショスターヴィチと同じくロストロポーヴィチのために書かれました。(ロストロすごい!もちろん初演もロストロ)
独奏チェロにとってもオーケストラにとっても超超難曲で、譜面もすっごいことになってます(語彙力)
ですが、聴いているとあっという間なのです。
私は2回実際にコンサートで聴いています。
Youtubeで上野通明さんの演奏を聴いていたので、昨年上野さんの独奏、東京都交響楽団の演奏会で生で聴けた時は感激でした!あの緊張感、やはり生は格別です!
時計が時を刻むのを思わせるチェロの音からあっという間に曲の世界に引き込まれます。私もよく聴いていた上野さんの演奏です↓
まとめ
いかがでしたでしょうか?
改めて8曲聞き直したり、調べ直したりしてるうちに、本当にどれもめちゃくちゃいい曲だし、チェロってなんていい楽器なのだろう!と、私自身が思いを強くしました。
どの曲も個性があって、同じチェロなのにそれぞれ全然違う表情を見せてくれますね。
また、8人のチェリストたちをまとめて聴くという豪華な記事にもなりました!
お気に入りの曲、お気に入りのチェリストは見つかりましたか?
これ以外にもチェロ協奏曲はたくさんあります。これからもいろいろな曲を聴いてみてくださいね!
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