みなさま、こんにちは!
この記事では、クラシック初心者の方からチェロファンの方まで楽しめる、チェロの魅力たっぷりのおすすめチェロ・ソナタをご紹介します!
チェロ・ソナタとはチェロとピアノの2重奏の曲のことです。
チェロ・ソナタってことは、チェロが主役でピアノが伴奏なのかな?
とんでもない!チェロ・ソナタではピアノとチェロは対等な関係で、2人の多彩な音楽的やり取りはソナタを聴く楽しみの一つなんだよ!
そっか!僕の好きなカザルスも色んなピアニストと弾いているよね。聴き比べてみようっと!
それでは、バロックから現代まで、さまざまな国で生まれた多種多様なチェロ・ソナタの中から、おすすめの4つのチェロ・ソナタをご紹介します!
ベートーヴェン:チェロ・ソナタ第3番 イ長調
チェロ独奏から始まるこのソナタの有名な出だしは、どこかで聞いたことある方も多いのではないでしょうか?
チェロ・ソナタは全部で5曲書いたぞ。
ベートーヴェンの作品は、その作風の変化から「前期」、「中期」、「後期」に分けられます。
チェロ・ソナタ第3番は「中期」に入ります。
各時代の特徴と主な代表作です(本当にざっくりとした説明です・・)
前期
ハイドンの時代を踏襲しつつ、ベートーヴェン独自の作風も垣間見られる。
- 交響曲第1番
- 弦楽四重奏 op.18
- チェロ・ソナタ第1番、第2番 etc.
中期
ベートーヴェン自身の作風を確立。
- 交響曲第3番「英雄」
- 交響曲第5番「運命」
- チェロ・ソナタ第3番 etc.
後期
より幻想的な作風へ変化、ロマン派へとつながる。
- 交響曲第9番「合唱」(第九)
- ミサ・ソレムニス
- チェロ・ソナタ第4番、第5番 etc.
チェロ・ソナタを順番に聴くと、作風の変化も感じられるよ!
ベートーヴェンは、チェロ・ソナタ第3番を1807年〜1808年に作曲。
この頃は「傑作の森」と呼ばれる時期で、ベートーヴェンはとても旺盛に作曲活動をし、次々と名曲を生み出していました。
このソナタも、「ザ・ベートーヴェン!!」という感じの力強く壮大な曲です。
第1楽章ではピアノとチェロが緊密に絡み合い、第2楽章はシンコペーションが印象的なスケルツォ、緩徐楽章はなく、第3楽章の抒情的な出だしを挟み、そのままアレグロ・ヴィヴァーチェに突入しエネルギッシュに曲を閉じます。
チェロ・ソナタといえばまずこの曲!な一曲です!
おすすめ名盤紹介!
パブロ・カザルス (Vc.)とルドルフ・ゼルキン(Pf.)の演奏もおすすめ!
ブラームス:チェロ・ソナタ第1番 ホ短調
私はチェロ協奏曲は書いていないが、チェロ・ソナタは2曲書いたんだ。
1865年完成、ブラームス(1833-1897)が32歳の時の作品です。
比較的若い頃の作品ですが、全体的にホ短調のうす暗く、物悲しい雰囲気に覆われています。
この頃のブラームスは、1865年に母親を亡くし、1868年にはあの「ドイツ・レクイエム」を完成させています。
このチェロ・ソナタにも当時のブラームスの心情が現れているのでしょう。
このソナタは全3楽章から成ります。
ブラームスは当初4楽章構想も持っていたようですが、緩徐楽章がないこと、スケルツォを思わせるような2楽章のテンポの速いワルツなどはベートーヴェンを意識していたことを窺わせます。
また、第3楽章はフーガ(簡単に説明すると、追いかけっこのような音楽)で、主題にバッハの「フーガの技法」を用いています。
ブラームスはバッハやベートーヴェンを尊敬し、またその後継者であることを意識していたんだね。
余談:私はこの第3楽章のフーガに宇宙を感じるのですが(笑)、先日の「題名のない音楽会」で藤田真央さんがブラームスの「ピアノ協奏曲第2番」に宇宙を感じるとおっしゃっていて、なんだかつながるものを感じました(笑)
ブラームス:チェロ・ソナタ第2番 ヘ長調
続いてご紹介するのは、同じくブラームスのチェロ・ソナタ第2番!
この第2番のソナタは第1番と打って変わって明るく、おおらかなブラームスらしい温かみも感じられる作品です。
この曲は1886年、ブラームス53歳の時の作品。
この頃のブラームスは夏になるとウィーンを離れ、避暑地で創作に励んでいました。
スイスのトゥーン湖畔で夏を過ごし、その自然から多くのインスピレーションを得たんだ。
- ヴァイオリン・ソナタ 第2番
- チェロ・ソナタ 第2番
- ピアノ三重奏曲 第3番
ブラームスの充実した創作活動の様子が窺えますね!
第2番のソナタは第1番に比べ、作品の規模も大きく全4楽章から成ります。
チェロはトレモロの奏法や、ピツィカートも多用され、より多彩な音色がチェロから引き出されています。
何より自然の雄大さを感じさせるスケールの大きさがこの曲の魅力だと思います!
情熱的で豊かなチェロとピアノの響きに身を委ねてお聴きください!
シューベルト:アルペジオーネ・ソナタ
フランツ・シューベルト(1797-1828)はわずか31歳でこの世を去り、チェロソナタは書いていません。
しかし、現在はシューベルトが1824年に書いたアルペジオーネソナタをチェロで演奏しています。
このアルペジオーネソナタはその名の通り、当時新しくできたアルペジオーネという楽器のために書かれました。
アルペジオーネとは・・・
- チェロとは全く別の楽器(ギター+チェロのような楽器)
- 楽器製作者ヨハン・ゲオルグ・シュタウファーが1820年代前半に考案
- 6弦でギターと同じ調弦
- チェロより小さい
- チェロのように構え弓で演奏する
- 指板にフレットがついている
しかし、アルペジオーネは徐々に忘れられていき、このアルペジーネソナタはチェロで演奏されることが多くなっていきました。
6弦をもち、チェロよりも小ぶりで、広い音域と軽やかな動きも得意であったアルペジオーネの代わりをチェロがするのは容易ではなく、チェロにとっては大変演奏難易度の高いソナタとなりました。
第1楽章の細やかなパッセージや、第3楽章の軽やかなフレーズからも、アルペジオーネがどんな楽器だったか、なんとなく想像できる気がしますよね!
そしてシューベルト独特の美意識、シンプルながら品があり、なんともいえない美しさがある、大変優美な一曲です。
第1楽章↓
第2、3楽章↓
アルペジオーネでの演奏を発見しましたのでご参考まで↓
まとめ
チェロ・ソナタ、どれもそれぞれ違った魅力があって素敵ですね。
このPart1の記事では、チェロ・ソナタの中でも特に有名でよく演奏される4曲をご紹介しました!
おすすめチェロ・ソナタ続きはこちら↓