みなさま、こんにちは!
以前の記事で音階を練習することをおすすめしました。
レッスンで先生から音階を練習するように言われている方や子供たちも多いと思います。(私も必ずレッスンの初めに弾いていただいています。)
では、なぜ音階を練習すると良いのでしょうか?
私なりの考えを書いていきたいと思います。
- 音階練習のやり方に疑問を感じている
- 漠然と音階を練習している
- 時間がないから音階より曲を練習したい!
などなど、音階にお悩みの皆様も、そうでない皆様も、一度一緒に音階練習の意味を考えてみましょう!
調には性格がある
皆さんは今何調の音階を練習していますか?
中には理論的には存在していても、実際の曲で使われることは稀な調もあります。
そして、調によって性格があります。その感じ方は人それぞれで自由です。
重要なのは、それぞれの調によって性格が違うことを自分なりに感じていることです。
調性は曲のイメージを大きく左右するので、作曲家も調性選びにはかなりこだわっています。
例えば、有名なベートーヴェンの交響曲第5番「運命」はハ短調ですが、これがもしト短調だったら受ける印象がだいぶ違います。
(冒頭のソソソミ♭〜 → レレレシ♭〜 となります。)
「運命」に合っているとベートーヴェンが判断した調がハ短調だったのでしょう。
そして、実はこの曲は最後ハ長調で終わるのですが、「ハ短調→ハ長調」に転調して明るく終わることで、「苦悩から勝利へ」のストーリーを表現しています。(かなりのざっくり説明ですが・・)
このように、調性は音楽のイメージと深く結びついています。
調性のイメージを自分なりに持つ
また、調と音楽のイメージの関連性の例として、変ホ長調を見てみましょう。
ベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」は変ホ長調ですが、(チェロのメロディから始まりますよ!)
リヒャルト・シュトラウスの「英雄の生涯」も変ホ長調です。(これも冒頭チェロとヴィオラとホルンから!弾くのはめちゃくちゃ難しいけど、みんなで弾くととっても気持ちいい!)
変ホ長調=英雄の調なのか!?
とも思いたくなりますが、もちろん全てがそういうわけではありません。(おそらくリヒャルトがベートーヴェンを意識した部分があると思いますが・・)
この曲を作るにあたって、ベートーヴェンもリヒャルト=シュトラウスも、自分のイメージにふさわしい調は変ホ長調だと思ったのでしょう。
なぜ作曲家がこの調を選んで曲を書いたのか、というのを考えてみると面白いと思います。
こんなことを踏まえた上で、今自分が練習している曲の調性の音階を練習してみたり、
あるいは、練習している音階と同じ調性が使われている曲を探して聴いてみたりしてはいかがでしょうか?
音階を練習する=調性のイメージを持つことであり、ひいては曲全体を理解することにつながっていくのです。
音階はそのまま曲になっている
これは作曲家ってすごいなと思うのですが、よく見ると普通の音階にハーモニーを添えたり、リズムを変えたりしてるだけで、音階がそのまま曲になっていることはかなり多いです!
なので、音階を練習する=曲を練習することにつながっているのです。
実際に見ていきましょう!チェロ曲で例を探しました!
バッハ:無伴奏チェロ組曲第3番 ハ長調 より プレリュード
冒頭、いきなりハ長調の音階の下行形から始まっていますね!その後も音階を行ったり来たりしながら曲が展開していきます。
ハイドン:チェロ協奏曲第1番 ハ長調 より 第3楽章
この曲は超絶技巧で有名ですが、いきなりハ長調の音階の上行形のオンパレード!弾くのはかなり難しいです。。(下記の動画では第3楽章のソロチェロは18’15″からですが、ぜひ全楽章聴いてください!)
チャイコフスキー:くるみ割り人形より No.14 パ・ド・ドゥ
有名な花のワルツの後の曲ですが、美しいハープのアルペジオに乗せて、チェロがソファミレドシラソと奏でます。
音階がこんなロマンチックな曲になっているなんて・・これはもうチャイコフスキー天才!と思いながらいつも弾いています (笑)
チェロ的には色々なポジションの練習に最適
前の記事でお伝えしたとおり、音階が音程の練習や耳を丁寧に使う練習にとても良いのはもちろんですが、他にもチェロのテクニックとしては、全部の調を練習すると、ありとあらゆるポジションを網羅するので、ポジションの練習に最適です。
得意な弾きやすい調ばかり練習していてはダメですよ (笑)
シャープ、フラットがたくさんついているところまで、全部の調を練習しましょう!
まとめ
いかがでしたか?ここまでをまとめてみます。
- 音階を練習すると調性のイメージが持てる
- 調性のイメージは曲の理解へつながる
- 音階はそのまま曲に使われるので、曲の練習にも通じる
- 全ての調を練習することで、チェロの様々なポジションの練習にもなる
やはり、音階を練習するということはとても実践につながっている、ということを私も改めて感じました。
そして、素晴らしい演奏家ほど音階もまるで曲のように美しく弾くと言われています。
音大入試にも使われる、音階、分散3度、アルペジオ、3度、6度、8度の重音など、徹底的に音階を練習する本です。これをやり切ると基礎力がつくこと間違いなし!